システム会社にとどまらない、マーブルのもう一つの顔
マーブルといえば、自治体向けシステムや製造業の生産管理、物流の基幹システムなど、現場の課題を解決するITソリューション企業というイメージが強いです。しかしマーブルにはもう一つの顔があります。それが、XR・AI・次世代通信といった最先端技術への研究開発です。
「わたしたちの暮らしを支えるテクノロジーの可能性は留まることなく、未来に向けて無限に広がっている」——公式サイトにあるこの言葉は、マーブルが単なる受託開発会社ではなく、自ら未来を切り拓こうとしている姿勢を示しています。
XRとは何か:VR・AR・MRをまとめた技術の総称です
マーブルが注力している技術の一つがXR(Cross Reality / Extended Reality)です。XRとはVR・AR・MRの総称です。それぞれの意味を簡単に整理すると以下の通りです。
VR(Virtual Reality=仮想現実) は、完全にデジタルで作られた仮想空間に没入する技術です。ゴーグル型デバイスを装着することで、現実とは切り離された別世界を体験できます。
AR(Augmented Reality=拡張現実) は、現実の空間にデジタル情報を重ねて表示する技術です。スマートフォンのカメラで現実を映しながら、そこに情報や映像を上乗せするイメージです。
MR(Mixed Reality=複合現実) は、VRとARの中間のような技術で、現実空間とデジタル空間を双方向に融合させます。現実の物体にデジタルオブジェクトが重なり、互いに影響し合う体験が可能です。
マーブルはこれらのXR技術を使って、新しい体験や価値を創造する取り組みを複数進めています。
注目プロジェクト①:Avatar Jockey(6G×MR)
マーブルのXR研究の中でも最も注目されているのが、「Avatar Jockey(アバタージョッキー)」です。
Avatar Jockeyは、複数人でXR空間を共有しながら、現実空間と仮想空間を行き来してインタラクティブな音楽体験ができるアプリケーションです。音源となるアバターを空間の好きな場所に自由に配置し、踊らせることで立体音響の音楽空間をマルチプレイでインタラクティブに作り上げるという、これまでにない音楽体験を提案しています。
このプロジェクトの技術的な核心は、次世代通信規格「6G」とMR(複合現実)の組み合わせにあります。6Gは現在普及している5Gのさらに次の世代の通信規格で、超低遅延・超高速・超大容量の通信を実現するとされています。複数人が同じXR空間をリアルタイムで共有するためには、こうした次世代通信技術が不可欠です。
注目プロジェクト②:VRを活用した医療・福祉分野への応用
マーブルのXR研究はエンターテインメントだけにとどまりません。医療・福祉分野への応用も進めています。
一つは解剖学アプリです。医療系の学校向けに開発された学習支援アプリケーションで、体の部位を立体的に分解・表示することができます。教科書の平面図ではイメージしづらい部位も、VRによって立体的に把握できるため、理解が深まります。デバイス装着者が見ている映像を他の人と共有する機能も備えており、授業や実習での活用が想定されています。
もう一つは「一緒におでかけVR」です。外出が困難な方や外出意欲が低下している方を、XR技術で支援することを目的としたプロジェクトです。「一緒に散歩している感覚」をVRで体験することで、生活の質(QOL)の向上を目指しています。
同行者側の視線の動きをおでかけ側に反映させる仕組みが特徴で、単なる映像視聴ではなく一緒にいる感覚を作り出す工夫がなされています。
注目プロジェクト③:AR Audio Guide(美術館・博物館向け音声ARアプリ)
AR分野では、「AR Audio Guide」という音声ARアプリケーションの開発も行っています。
美術館や博物館で使われている従来の音声ガイドは、番号を入力して解説を聞くというシンプルな仕組みです。AR Audio Guideはこれを発展させ、スマートフォンのカメラで作品に付いた画像マーカーを読み取ると、対応した音声や映像が自動で再生されます。さらに、マーカーからの距離に応じて音量が変化する機能を持っており、実際に作品に近づいたり離れたりする鑑賞行為に合わせて音が変わるという体験が実現します。
こちらも学術論文として発表されており、技術的な裏付けを持ったプロジェクトです。
AI研究:画像AIと音声AIで現場の課題を解決します
XRと並んでマーブルが力を入れているのがAI(人工知能)の研究開発です。
画像AIの分野では、物体検出・セマンティックセグメンテーション・Zero-Shot学習・Few-Shot学習といった様々な手法と、AR技術を組み合わせたソリューションの開発を進めています。特に製造業の現場での活用が期待されており、これまで作業者の勘や経験に頼っていた機械の故障・異常の検知を、AIによって自動化・効率化することを目指しています。
音声AIの分野では、機械学習や深層学習を使って音のわずかな違いを検知する研究を行っています。カメラや人が立ち入れない場所でも、環境音や動作音を分析することで機械の異常を検知できる技術の実用化を目指しています。画像AIと音声AIを組み合わせることで、より精度の高い異常検知システムの実現も視野に入れています。
R&Dセンター:2022年に開設された研究開発の拠点
これらの研究開発を支えているのが、2022年4月1日に開設されたR&Dセンターです。
R&Dセンターは「ITでワクワクの未来を創造すること」を目的に設立された研究開発拠点で、最先端の技術とアイデアを集結させ、新しい可能性を探求するための場として機能しています。開設以来、XR・AI・次世代通信など様々な分野で、未来の課題解決と新たな価値創出に向けた挑戦が続けられています。
日々の受託開発や保守業務とは切り離した研究開発専用の拠点を設けることで、目先の案件にとらわれない中長期的な技術探索が可能になっています。
まとめ
マーブルの次世代技術への取り組みは、エンターテインメント・医療・福祉・製造・文化施設と幅広い分野にまたがっています。6G×MRのAvatar Jockey、VRを使った医療学習支援、音声AIによる異常検知——いずれも「技術のための技術」ではなく、具体的な社会課題や人々の体験の改善を起点にした研究です。
1,000社以上の顧客に現場密着型のITソリューションを提供しながら、一方では未来に向けた先端研究にも投資し続ける。この二つの顔を持つことが、マーブルという会社の面白さと言えるでしょう。

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